台所の引き出しを開けてみると、
何かいます。
かっぱ。
かっぱがいました。
なんとも挑発的な格好で、こちらを見ています。
許せない。
犯人はすぐに分かりました。
母です。
最近、アイスのしろくまくんにハマり、食べてばかりいる母(53)が犯人です。
鶏肉の皮が嫌いで、いつも私のお皿に乗せてくる母(53)が犯人です。
これは、立派なテロ行為。
愛らしい眼で、人間を信じきってしまったせいで、
こんなテロ行為に利用されたかっぱ君が、かわいそうで仕方がありません。
それに、これを許してしまったら、
たちまち我が家のキッチンは崩壊するに違いありません。
調子に乗った犯人が、次々に変な小物を飾り立てるかもしれません。
我が家の(インテリアの)風紀は、この私が守るしか無いのです。
そう決意し、かっぱ君を返却しようと、
私は、敵のアジトである母の部屋に侵入しました。
目には目を。歯には歯を。です。
とんでもないところに置いてやろうと考えたのです。
しかし、
母の部屋は、さまざまな小物をごちゃごちゃ…あ、いえ、
賑やかに飾り立てているため、
どこに置いても馴染んでしまい、返してやった感が薄い。
いやむしろ、母は返された事に気付かない可能性もあります。
私は困り果てました。
手には、人間の欲望の渦に巻き込まれ、疲れ果てたかっぱ君。
仕方ありません。
せめてもの労いです。ふかふかの母のベッドで寝させてあげましょう。
もう戻ってくるんじゃないぞ。
「ありがとう、まいさん。」 |
そう声をかけ、敵のアジトを後にしました。
実に手強い事件でした。
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